月経の悩みはピルの服用で解決!

避妊だけじゃない!低用量ピル(経口避妊薬)のメリットと作用する仕組み

低用量ピル(経口避妊薬ピル)は、エストロゲンとプロゲステロンという2つの女性ホルモンを人工的に合成した薬です。排卵を抑制することで、妊娠を防ぐ方法です。妊娠は、排卵した一つの卵子と精子が出会って受精することではじまるため、排卵がなければ妊娠はありえません。ピルは配合されているホルモンの働きによってこの排卵を起こさない作用を持っているのです。

PMS(月経前症候群)を治した女性

エストロゲンとプロゲステロンは、月経周期に深い関係があります。月経周期の前半、月経がはじまって排卵までの約14日間は、卵胞の発育とともにエストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌が盛んになります。そして排卵後、次の月経までの14日間はプロゲステロン(黄体ホルモン)が加わり、2つのホルモンが分泌されるようになります。

排卵が起こっても卵子と精子が出会って受精しなければ、プロゲステロンの分泌は低下していき、やがて次の月経が起こります。一方、排卵の時に、卵子と精子が出会えば、受精から着床へと進み妊娠となるわけです。

妊娠すると引き続きエストロゲンとプロゲステロンが分泌され、この状態では卵胞はあらたに発育しないで、排卵もありません。つまり、エストロゲンとプロゲステロンが十分にあれば、排卵は起こらないのです。

低用量ピルは、この仕組みを利用して、2つの女性ホルモンを人工的に合成しました。ピルによって仮の妊娠状態を作り出し、排卵を起こさせないようにするのです。日本では世界に遅れること約40年の1999年に低用量ピルが認可され、避妊の選択肢に加わることになりました。

ピルを服用する最大のメリットはほぼ100%の確率で避妊することができるという点ですが、それだけではなく月経に関する様々な不快な症状を軽減したり、女性特有の病気を予防したりするといったメリットもあります。以下はピルを飲むことで得られる避妊以外のメリットのリストです。

月経異常を改善する
ピルを服用した多くの女性は月経周期が一定に安定するようになり、日数も一般的に28日と短くなり、月経の出血量も減少します。

月経周期を計画的に調節できる
結婚式や旅行、スポーツの試合、試験などに月経周期が重なりそうな場合、ピルを服用することで、月経周期を計画的に調節して、その期間だけ月経を起こさせないようにすることができます。

月経の不快感を緩和する
月経前のイライラや倦怠感、月経痛、多量の出血、乳房が腫れて痛いなどの月経に伴う不快な症状(月経前症候群:PMS)は、卵巣から分泌されるプロゲステロン(黄体ホルモン)によって引き起こされます。エストロゲン(卵胞ホルモン)にはプロゲステロンの働きを抑える働きがあるので、ピルを服用することで、これらの不快な症状を和らげることができます。

子宮内膜症に効果がある
ピルを飲むと、配合されている2つの女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)によってホルモンバランスが整えられるため、女性特有の病気の予防につながります。その代表が月経のある20〜30代に起こりやすい子宮内膜症です。

子宮内膜症は、月経時に、血液が卵管の開口部から腹腔内に流れ出し、この血液と一緒に子宮内膜の組織の一部が流れて卵巣とその付近の器官に蓄積して癒着を起こし、コブような組織をつくります。こうなると卵巣は異常な働きができなくなり、卵管の口がふさがってしまうのです。

妊娠すると排卵が抑えられ、月1回腹腔の中に流れ込んで血液の流出が抑えられるため、妊娠すると子宮内膜症の治療になるといわれてますが、ピルを服用することは人工的に仮の妊娠状態を作り出すことになるので、同じ効果をえることができます。

骨盤内の感染症が減る
ピルを服用することで、子宮頸管の粘液の粘り気が増し、膣内細菌が子宮に入り込んで繁殖するのを防ぎます。月経の量も減るため、病原菌の繁殖が抑えられ、子宮筋の緊張が下がり、卵管への病原菌の移動が減ります。

肌がきれいになる
ピルに配合されているエストロゲン(卵胞ホルモン)には、顔に小じわができるのを防いだり、ニキビを改善する働きがあるため、ピルを飲むと女性の肌がきれいになるということは世界的に知られています。ピルの服用によって望まない妊娠への不安から解放されることで、精神的に落ち着くことで肌が美しくなるという一面もあるでしょう。

また上記の月経の不快感が解消されたことで、体の調子が良くなり、スポーツなどで体を動かす機会が増え、たんぱく質の代謝が改善されるという肉体的な理由もあるかもしれません。